101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活 のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「 簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがい っぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社) から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。
<100歳の100の知恵 74>
『「日ぐすり」という言葉のやさしさをかみしみる』
日本語には、誰が言い始めたのかはわからないけれど、なんともいえない味わいのある言葉があります。
「日ぐすり」という言葉も、そのひとつ。
以前、妹が亡くなってしばらく経ってから、寂寥感に打ちひしがれている妹のつれあいに「日ぐすりという言葉を知ってらっしゃる? 今は一番つらいときかもしれないけれど、時間が薬になるので、一日一日を、ご自分を大切にして、妹の分まで生きてやってください」と申しました。
私も姑と夫を相次いで亡くした後、後片づけや事後処理が一段落してから、なんともいえないような寂しさが押し寄せてきました。
そのとき、「日ぐすり」という言葉を思い出し、自分を慰めたものです。