101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

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『イヤなことは忘れる訓練をする』

100年も生きていれば、当然ですが、いいこともあれば、悪いこともあります。

幼い頃に両親が離婚し、心満たされない子ども時代を過ごしましたし、戦争で婚約者を失いました。かなり気難しいところのある夫にも仕え、自宅で姑の介護も経験しています。

しかし私は、イヤなこと、つらかったことは忘れるようにしています。もう少し正確に言うと、忘れる訓練をしたのです。そうでないと、自分が救われないからです。

 

イヤなことを忘れるというのは、訓練によってけっこう習慣になるものです(写真提供:photo AC)

 

誰の心のなかにも、つらい思い出やイヤな記憶はあるはずです。でも、ことさらそれを取り出して、「私はこんな目にあった」などと負の感情を反芻しても、もやもやとしたイヤな気持ちが蘇るだけで、いいことなんかまったくありません。

イヤなことを忘れるというのは、訓練によってけっこう習慣になるものです。

私がこの歳でも日々楽しく、幸せに生きていけるのも、この訓練のたまものかもしれません。

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