親のお見舞いには花を携えて。フランスには花屋がたくさんあります。(写真:『フランス・ブルターニュで見つけたお金をかけない豊かな暮らし』より)
1982年、年5週間(年間30日間)の有給休暇を法制化したフランス。有給取得率も100%に近いと言われるほど高く、「バカンス大国」として、国民は豊かな暮らしを謳歌している印象があります。一方、フランス・ブルターニュ地方で生活しながら、田舎暮らしをブログで発信しているのが旅行ジャーナリストのシャルバーグ八千代さん。八千代さんは「できないことをできる人にお願いする。フランスなら当たり前のこと」と言っていて――。

どちらかに合わせるのは無理だった

2009年、88歳で義母が亡くなり一人になってしまった義父。彼には資力があったので、その後の暮らしにいくつかの選択肢がありました。

生まれ育ったパリで有料のケア付き施設に入る。私たちの家に比較的近いところにある同様の施設に入る。あるいは、我が家の手付かずだった半分を至急直してそこに住む。彼が選んだのは、三番目の選択肢。二世帯住宅にして、私たちと一緒に住むことでした。

隣人生活を始めた当初、「二世帯でも食事くらいは」と思った私は、毎夕食そろって一緒に食べることを提案しました。でも、これはまったくの失敗でした。

以前から義父の夕食時間は決まっていて、必ずテーブルについて食事をしていました。ところが私たちは、日によって食事時間が違うし、時にはピクニックと言って用意した物を各自好きな時に好きなように食べることもありました。

はじめから、どちらかに合わせるのは無理だったのです。いつもテーブルについてきちんと食べることに夫は疲れ、かといって義父はいい加減なピクニックは嫌いでした。私は私で決まった時間にみんなが食べられるように用意するのに疲れました。