できないことは人を頼る

義父のお母さん、夫の祖母にあたる人は90歳を過ぎてもパリで一人暮らしでした。それを維持するため、ウイークデーの日中と夜担当で二人、週末の担当一人、計三人の人を義父は頼んでいました。さらに義父は、ほぼ毎週のように自宅のあるリヨンからパリへ行っていましたし、電話は毎日していました。

94歳で亡くなる2年ほど前からアルツハイマーが進み、パリでは無理になり、彼らの家の近くにある施設に入ってもらいましたが、二人で週に何回も見舞っていました。

息子でも娘でも、生涯独身だと親と一緒に住み、亡くなるまで面倒を見る人も少なからずいます。ただ、ブルターニュの私の周りを見ても、親を施設に入れている人がほとんどです。

できないことをできる人にお願いする。フランスなら当たり前のことです。もし、どこかの時点で家族の手に負えなくなったら、躊躇なく他を頼ります。

お金があれば有料の施設や義父のように人を雇うし、なければ行政の枠内での支援を頼ります。他に頼ることに抵抗を感じる人はいません。

だから、日本のように一人で何もかも引き受けてしまい、結果どうにもならないという悲劇は起こりません。フランスの福祉も完璧ではありませんが、試行錯誤を重ねながら今のところ何とか機能しています。

※本稿は、『フランス・ブルターニュで見つけたお金をかけない豊かな暮らし』(大和書房)の一部を再編集したものです。


フランス・ブルターニュで見つけたお金をかけない豊かな暮らし』(著:シャルバーグ八千代/大和書房)

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