岩瀬先生「認知症予防に効果のある昼寝の時間は30分程度」(写真提供:Photo AC)
厚生労働省の調査によると、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症を発症し、その数は約730万人に及ぶと推計されているようです。精神科医で認知症サポート医としても活躍している岩瀬利郎先生は「認知症の発症を高めてしまう習慣がある」と指摘しています。たとえば「認知症予防の意味で、理想的な昼寝の時間は30分程度」だそうで――。

30分程度の昼寝が効果的

近年、昼寝と認知症の関係も研究されており、昼寝の習慣がある人はアルツハイマー型認知症になりにくいということがわかってきました。

昼寝には記憶力や判断力・計算力などの認知機能を向上させる効果があります。また、ストレスの軽減にもなり、認知症の発症因子であるうつ病の防止にもなります。

さらに、体力を回復させる効果もあり、昼寝は心身の健康も保ってくれるのです。

このように、昼寝はさまざまな効果が期待できますが、だからといって、何時間も昼寝をすべきということではありません。認知症予防に効果のある昼寝の時間は30分程度とされています。

その証拠に、「60分以内の昼寝はアルツハイマー型認知症のリスクを下げたのに対し、60分以上の昼寝はリスクを高めた」という論文や「昼寝の時間が長いほど記憶力の低下が認められた」というアメリカの研究結果が出ています。

また、長時間の睡眠は、夜の良質な睡眠を妨げることになり、結果、アルツハイマー型認知症の発症原因とされるアミロイドβが脳に蓄積されやすい状態になります。

適度な昼寝は認知症予防やその他健康に役立ちますが、長すぎる昼寝はかえって逆効果なのです。