日本は「他人に迷惑をかけない人になってほしい」と願う親が、他国と比べてとても多い(写真提供:Photo AC)
2021年、孤独・孤立に関する初の全国実態調査が政府によって行われました。それによると、ほぼ3人に1人が何らかの形で「孤独感がある」と回答したそうです。一方で「さみしさは人類が生き延びるための本能であり、心の弱さではありません」と語るのは、脳科学者の中野信子さん。中野さんいわく、日本は「『他人に迷惑をかけない人になってほしい』と願う親が、他国と比べてとても多い」そうで――。

さみしいという感情は自分で解消すべきという風潮

さみしさに苦しんでいる人の多くは、その苦しみをひとりで抱え込んでしまっていることでしょう。

さみしいという気持ちを誰にも打ち明けられない、どう伝えていいかわからないということが、問題をより深刻にしていることがしばしばあります。

「わたしはさみしい」と他人におおっぴらにいうことは、恥ずかしいことだという刷り込みもあるのかもしれません。

「さみしい」といえば、心の弱さを吐露するようなもので、そうして他人の関心を引いたりするような「イタイ人」とみられかねない。

承認欲求の塊のように思われるのは嫌だ。だから、さみしいという感情は、自分で解消すべきという風潮になってしまうのかもしれません。