俳優の水谷豊さん(右)と、作家の松田美智子さん(左)(撮影:大河内禎)
放送24年目に突入したドラマ『相棒』で主演を務める水谷豊さんは、昨年古稀を迎えた。こんなに長く、第一線で活躍を続けられる理由とは――。このほど水谷さんへのインタビューを本にまとめた作家の松田美智子さんが、その秘密に迫る(構成:篠藤ゆり 撮影:大河内 禎)

お酒とコーヒーで深夜まで語り合った

水谷 初めて会った時、僕たちはまだ20代前半でしたね。優作ちゃん(俳優の故・松田優作さん)がジーパン刑事役で出演していた『太陽にほえろ!』(72~74年)に、僕が犯人役として出演したのが20歳か21歳の頃。優作ちゃんとは初対面で意気投合し、一緒に焼肉を食べに行ったなあ。

松田 初めて豊ちゃんが遊びに来たのは、確か、優作と私が神奈川・中央林間の米軍ハウスに住んでいた時だったかしら。

水谷 ええ、そうでした。下北沢のアパート時代も、車で優作ちゃんを送っていったことはありましたけど。

松田 若い頃の優作は喧嘩っ早いところもあったけれど、豊ちゃんとは一度もぶつからなかった。

水谷 家に招かれると、いつも夜中まで話し込んだ。優作ちゃんはお酒を飲みながら。僕は飲まないから、マミさん(松田さんの愛称)の手料理をつまみながらコーヒーを飲んで。

でも、難しい演技論や仕事の話はしたことないんです。冗談言っては笑い合って、お互い他人には話せないことも話した。まさに親友でした。役者としての方向性も性格もまったく違うけれど、お互いリスペクトしていたんでしょうね。