そして、よく泣くんですよ。試合に負けたら当然泣きますし、アドバイスをしようとすれば、まだ一言もしゃべっていないうちから、涙がボロボロ。とにかく人前ですぐに泣くので、「そんなに悔しかったら、コートで戦っている時にもっとトライしようよ」と話をしています。

もうひとつ感じているのは、目標に対して突き進むパワーが、私たちの頃に比べると希薄だということです。私たちが若い頃は何もわからなかったからこそ、夢に向かってがむしゃらに突き進むことができました。

今は情報が溢れているせいで、自分はどのレベルなのか、この先世界で戦えそうなのかということが、挑戦前にわかってしまいます。そのため、夢に対して突き進みにくくなっているのかもしれません。

とはいえ、音楽であれ、ビジネスであれ、どの世界で生きていくとしても、夢が叶う保証なんてないわけですからね。

4大大会では、プロテニスの試合の賞金は男女同額。「男性と対等」がしっかり確立しているスポーツは、テニスとゴルフくらいです。女性にとってそれだけ夢のある職業ですから、「保証がなくても、夢にかけてみようよ」と、背中を押したい。

私がテニスに出会ったのは「健康のために」と始めた両親の影響。そのおかげで、自分を成長させることができました。恩返しとして、可能性を広げてくれたテニスの素晴らしさを、若い世代に伝えていくことが私の使命だと感じています。

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