「いつも自分の部屋で仕事しています」。日差しがやわらかく入る3階にて(撮影:小山志麻)
最愛の母の他界、兄の在宅介護――。作家・山口恵以子さんの生活は年々変化してきていると言います。その時々の問題に向き合って、大規模リフォームや断捨離に取り組んできました(構成=村瀬素子 撮影=小山志麻)

<前編よりつづく

母の着物は残して服は定量を保つ

家の安全でいうと、建物だけでなく部屋の中も大事。障害物をなくしスムーズに動けるようにするために、かなり断捨離をしました。ここ数年で何段階かに分けて、物を処分しています。

まず兄の物は、2トントラック1杯分捨てました。広告業界で働いていた兄はなんでもこなせて、ギターの腕はプロ級。仏像彫刻、スキーと趣味が広かったから、物も多くて。趣味関係はギター2本だけ残しました。

洋服もいまはリビングで着替えをするので、リビングのクローゼットに収まる程度に減らして。

1階の物置部屋の物も処分して、猫のトイレや餌を1ヵ所にまとめました。といっても、猫たちは家中を走り回っていますが。引っかくわ、パソコンのキーボードの上に乗って仕事の邪魔をするわ、困ったものですが、私にとっては心の癒やしであり、生活の潤滑油。

大人だけの暮らしって話題がないでしょう?猫がいるから笑いも会話も生まれて、兄と2人きりの生活にも耐えられるのです。