打席の中では何を考えてるんだろう…(写真提供◎大神さん 以下すべて)
大神いずみさんは、元読売巨人軍の元木大介さんの妻であり、2人の球児の母でもある。苦しいダイエットをしている最中に、長男が大阪の高校で野球をやるため受験、送り出すという決断をしている。夢と希望にあふれてスタートした高校生活はコロナや怪我で波乱万丈。そしてこの夏で引退を迎えた。球児の母として伴走する大神さんが怒涛の日々を振り返る

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野球を全く知らなかった

野球にたとえて話すとわかりやすいことがある。

「9回裏2アウト満塁、絶体絶命のピンチ!」

「ずっと悔しい思いをしてきたけど、代打の一発満塁ホームランで大逆転」

「ストレート勝負で、当たって砕けろ!」

などなど。

結婚前なら逆さまになったってこんなフレーズ、私の口から出ることはなかった。野球を全く知らなくて、人の話でたとえられてもわからなかったからだ。

ちなみに亡くなった私の父は、初めて大神家に元木を連れて行って紹介したときプロ野球選手だと紹介したら、
「どちらの球団の方?」
「どこを守っているのですか?ピッチャーですか?」と訊ねていたことを思い出す。

それまでそんなことをあまり人に聞かれる機会がなかった夫は、答えるのにうっ、と詰まっていた。あれはわざとだったか…父。

世の中には違う星で生まれたんじゃないかと思うほど、私の知らないことをたくさん知っている人と出会うことがあるものだな、と思う。

いやそんな人ばっかりだな。

私の目の前に現れたピコピコ宇宙人とは、とうとう結婚までしてしまったのだから…。

人生はわからないものだ。

ではそんな野球のたとえでコンコンと説明するから、うちの息子たちがとても聞き分けが良く、一度話したことをきっちり理解してくれているかというと…そんなわけはない。

普段野球を実際にやっているからこそ、自分の体を使って試合に臨む実際の野球と一般的なたとえで言う野球は、必ずしも符合するものではないらしい。