令和5年度の文化功労者に漫画家の里中満智子さんが選ばれました。高校在学時の1964年に『ピアの肖像』で第1回講談社新人漫画賞を受賞した後もなお、数々のヒット作を生み出してきた里中さんが歩んだ道のりとは。体の不調が出てくる中で、里中さんが死ぬまで現役という心掛けを持っている理由とは――。
死ぬまで現役
幼少の頃「健康優良児」として表彰された私は、長く自分は丈夫だと思い込んでいましたが、勘違いだったのかもしれません。既に5回も手術を受けています。
将来の出産をあきらめたくなくて子宮を残したのに、つい「あれも描きたい」「これも描きたい」と仕事に夢中になっているうちに、40歳が迫ってきました。
「そろそろパートナーを見つけて妊娠しなくては」と焦りはじめた頃にまた体調不良になり、子宮筋腫が見つかり切除することになりました。
このときも「今度こそ妊娠するように心がけますから」とドクターにお願いして、子宮全摘出ではなく筋腫のみを切除するという道を選んだのです。