(写真提供:Photo AC)
令和4年の国民生活基礎調査によると、男性の2.5%、女性の5.1%が便秘を訴えているそう。そのようななか、「骨盤の後傾によって曲がった現代人の直腸を真っすぐに伸ばして便秘を撃退する<直腸ストレッチ>」を考案し、テレビや雑誌を通して発信しているのは、アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長の高林孝光さん。先日『スッキリ出る!直腸ストレッチ』を刊行された高林さんいわく、「民族学的にも日本人は骨盤が後傾しやすいという指摘がある」そうで――。

「考える人」のポーズで便通がよくなる

医学の進歩は目覚ましく、日々、新たな治療法が確立されています。しかしながら、その医学といえども決して万能ではありません。

AI(人工知能)を活用した画期的な治療法が開発される一方で、昔から私たちを悩ませている不快症状の解消法がいまだに確立されていないという現状もあります。

便秘もその一つといえるでしょう。適度な運動、食物繊維の豊富な食材の摂取、そして目覚ましく進化する薬物と手術法……どれも理論的に確立された方法ばかりですが、現実には便秘に悩む人があとを絶ちません。

医療機関での治療は医師や看護師、理学療法士、栄養士などにおまかせするとして、柔道整復師で鍼灸師である自分にできることはないか―そう考えたときに、頭に浮かんだのが、私の専門である「姿勢」と「骨格」の問題でした。

きっかけとなったのは、介護の現場における便秘対策をテーマにした論文を読んだことでした。介護を必要とするお年寄りは、どうしても加齢に伴う便秘から逃れられないものです。

そこで介護士の方々は、便秘に悩むお年寄りに、トイレであるポーズをとってもらっているというのです。それは、洋式の便座に座ったときに、背すじを伸ばして上半身を前傾させる「考える人」のポーズでした。

「考える人」といえば、フランスの代表的な彫刻家、オーギュスト・ロダンが制作した、思索にふける男性の像として、知らない人はまずいないでしょう。あの像のように座って前かがみになった姿勢をとると、便通がよくなるというのです。

そのメカニズムを説明しましょう。