歌手、俳優の美輪明宏さんがみなさんの心を照らす、とっておきのメッセージと書をお贈りする『婦人公論』に好評連載中「美輪明宏のごきげんレッスン」。
7月号の書は「おぼろ月夜」です。

私の好きな小学唱歌「おぼろ月夜」

私の好きな歌に、小学唱歌があります。たとえば「おぼろ月夜」という歌は、みなさん、よくご存じでしょう。私はこの歌が好きで、これまでリサイタルのレパートリーに取り入れたり、レコードやCDに収録したりしています。

里山が暮れてゆき、手前は菜の花畑。家路につく人が小径を歩き、鐘の音やカエルの声も聞こえてくる。そして空には、霞がかったお月さまーー。歌を聞いた人は、「懐かしい風景が映像となって脳裏に浮かんでくる」とおっしゃいます。

メロディーの美しさも、この歌の魅力です。曲調と詞が一体となり、心にすーっと、心地よく染みていく。「おぼろ月夜」は、私だけではなく、矢野顕子さん、槇原敬之さん、中島美嘉さんなど、さまざまなミュージシャンが歌っています。それだけ、時代を超えた魅力がある歌、ということでしょう。