(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)」によると、2023年の空き家数は過去最多の900万戸だったそう。そのようななか、小説家の高殿円さんは、祖父と叔父が亡くなってから長年放置されていた、築75年・再建築不可の実家に頭を悩ませました。高殿さんは、大量の残置物を片付けるために<ガレージセール>を実施することにしたそうで――。今回は、高殿さんの著書『私の実家が売れません!』より、一部抜粋・再編集してお届けします。

絶好調のガレージセール

家の前でガレージセールをします、と打ち出したところ、思った以上に人が来ました。

「これはいける。できるだけ素人っぽく、しかし昭和レトロ感が出るように写真をとってみよう」

私はジモティーに二度目のお知らせを出しました。

レトロ推しで食器、小物などが映えるようにうなる私のiPhone13 Pro、スピーカーにバグがあるのにアップルが一向に認めようとしないことは一生許さない。

「うわ、すごい。めちゃくちゃ通知が来てる!」

私が予想した以上にそれらの過去の遺物には価値があったようで、写真を載せるとすぐに連絡が入り始めました。

中でも驚いたのが、「いまからすぐ行くので、写真に写ってるモノぜんぶください。動かさないで!」とすごい勢いで連絡をくれたFさんでした。

「動かさないでって、殺人事件の現場か……」

あまりの熱意というか迫力に圧倒されながらも、まあそんなわけにいかないので、来ている人たちを案内しつつ、片付けつつ……。