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大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマの放映をきっかけとして、平安時代にあらためて注目が集まっています。そこで今回「光源氏の次世代の主人公たちの恋愛模様」について、『女たちの平安後期』の著者で日本史学者の榎村寛之さんに解説をしてもらいました。

『源氏物語』内の通称「宇治十帖」について

まひろの手で執筆が進む『源氏物語』。

ドラマ内では、「藤壺」の内容を読んでいた道長が、中宮彰子に対する敦康親王の気持ちに気づく、というなかなか面白いシーンがありました。

その『源氏物語』のラスト十帖は通称「宇治十帖」と呼ばれます。

「光源氏の弟、宇治八の宮の娘、大君は、光源氏の正妻女三の宮の不義の子の薫に愛されたが、お互いの誤解から不幸な結末になる。一方、薫のライバル匂宮(光源氏の孫)の恋人になった妹の中君も決して安定した愛は得られなかった。」

宇治は歴史的には藤原道長の別邸宇治殿があり、それを相続したのが、中納言となり、隆姫女王と結婚した長男の藤原頼通です。

頼通は摂政・関白となり、極楽往生を願って宇治殿を寺院に改築しました。それが今の平等院です。穏やかな宇治川の流れと豊かな緑に囲まれた観光地として知られるこの地は、『源氏物語』の最後の舞台でもあるのです。