(写真提供:Photo AC)
総務省統計局が令和6年9月に公開した「統計からみた我が国の高齢者」によると、65歳以上の人口は3625万人と過去最多だったそう。高齢化が進むなか、92歳の評論家・樋口恵子さんと88歳の作家・下重暁子さんは「女性は75歳を過ぎると、医療のお世話になることがぐんと増える。75歳が老いの分かれ目」と語っています。そこで今回は、お二人の共著『90前後で、女性はこう変わる』から一部を、お二人の対談形式でお届けします。

人間ドックは受けない。自分の体の主治医は「自分」

下重 私は、人間ドックは受けない主義。区から届く健診の案内も見ないふりをしてますし、あまり褒められたことではないかもしれないけれど、乳がん検査のマンモグラフィーも受けたことがないんです。樋口さんは、どうしてますか?

樋口 大学で教職についていた50代の頃は、定期健診を受けなさいというすすめもあったので受けたりしていましたが、それ以降はほとんど受けていません。以前、和田秀樹さんと対談した際、80をすぎたら健診や人間ドックは受けなくてもいいとおっしゃってました。いろいろな数値など“知らぬが仏”だからって(笑)。それを聞いて、安心しました。

下重 まぁ、80すぎたら、調べたらきっとなにかしら出てくるでしょうしね。要は、それが老化ということですから。だから、あえてそれを暴き出す必要もないし、本当に具合が悪くなったり違和感を抱いたら、医者に行けばいい。私はそう考えています。

以前、聖路加国際病院の日野原重明先生とご一緒に車で講演会に行くとき、日野原先生も「健診はあまり受けない」と言われました。ただ60歳をすぎてからは、年に1回、誕生日の近くに、日本赤十字社医療センターで簡単な血液検査と検便はしています。誕生日を目安にしていると忘れにくいし、日赤は家の近くにあるので、近場が一番と思って。

樋口 それは鉄則。近場が一番!