総務省統計局が令和6年9月に公開した「統計からみた我が国の高齢者」によると、65歳以上の人口が総人口に占める割合は、29.3%と過去最高だったそう。高齢化が進むなか、精神科医の和田秀樹先生は「今の高齢者をとりまく医療は<本当は必要がないのに、やりすぎている>可能性がある」と指摘しています。そこで今回は、和田先生の新刊『医者にヨボヨボにされない47の心得 医療に賢くかかり、死ぬまで元気に生きる方法』から、和田先生流・医療とのつきあい方を一部ご紹介します。
がん検診を受ける前に、発見されたらどうするか考えておく
早期発見すれば、回復の見込みが高いとされている病気にがんがあります。早く発見すれば、軽い治療ですむ、という考え方です。
ですが、軽い治療とは言っても、高齢の患者さんにとっては「軽い」ではすまされないことが多い。がんが発見されれば、手術や抗がん剤治療などが待っています。
以前は80歳以上の方に手術をしなかった消化器外科の領域である胃がん、大腸がん、肝臓がんなどは、90歳を超えた患者さんでも、全身状態がよく元気な人であれば、積極的に手術を行っている例もあります。
しかし、これらの治療を体力の落ちてきた高齢者が耐え抜くのは大変で、治療の害で亡くなっていく人も相当数いると考えられます。
がんが寿命を縮めるというよりも、治療が寿命を縮めてしまうことが実際に多いのです。これもがん検診でがんを見つけてしまった害悪だと私は考えます。