厚生労働省が実施した「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、過去1年間でメンタルヘルス不調により1カ月以上休業、または退職した労働者がいた事業所の割合は、13.5%だったそうです。会社を休むことにためらいを感じてしまう方もいるなか、産業医・心療内科医の薮野淳也先生は「今や休職は、めずらしいことではなくなっている」と話します。そこで今回は、薮野先生の著書『産業医が教える 会社の休み方』から「正しく、適切で、安全な」休み方を一部ご紹介します。(構成/橋口佐紀子)
休みの質も大事
最近、「社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)」という言葉が注目されています。平日は仕事に追われて十分な睡眠時間が取れず、その分、休日に寝だめする。そうした生活が体内時計をずらし、朝起きられなくなったり、昼間眠くなったり、夜眠れなくなったりすることを社会的時差ボケといいます。
休むことには、体力的な休養とメンタル的な休養があります。
疲れているときにやってしまいがちなのは、一日中、横になって寝て過ごすという休み方。平日に疲れた体が癒され、体力は回復します。
平日の仕事で疲れ切ってしまう人のなかには、金曜日の夜から土曜日の日中にかけてずっと寝ていて、夕方の5時ぐらいにようやく起き出す、なんて人もいるのではないでしょうか。そうすると、夜12時前に寝ようと思ってもなかなか眠くはならないでしょう。
その結果、2時、3時を過ぎてからようやく寝て、朝は起きられず、また日曜の夜も寝られなくなって、寝不足のまま月曜日の朝を迎える……ということになりかねません。
体力を回復させることも大事ですが、私が、さらに重要だと思うのが、リズムのなかで休むことです。睡眠リズムも生活リズムも乱さず、いかに質の高い休養をとれるかが月曜からのパフォーマンスを左右します。