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高齢者は転倒が原因で要介護生活になるリスクがあります。住み慣れた家でも危険なポイントはたくさん。自分でできる予防と対策を教えます(構成=島田ゆかり イラスト=鈴木亮)

加齢によって衰える3つの力

「若い頃はつまずいたくらいでは転ばなかったのに……」と感じている読者も多いでしょう。若い頃と違って、何もないところで転倒してしまうのが高齢者の特徴。加えて、骨が脆くなり、ちょっとした転倒でも骨折することが少なくありません。

手をつけば手首、しりもちをつけば股関節が折れることも増えます。骨折によって寝たきりになれば、やがては認知症に進むことも。転倒予防は健康寿命をのばすためにも重要なのです。

高齢者が転倒する主な原因は筋力とバランス感覚、そして注意力の低下です。人間は立っているときや座っているときに、「抗重力筋」を働かせています。重力に対して姿勢を保持する腹筋や背筋、大殿筋(おしり)、大腿四頭筋(太もも)などの筋肉です。

しかし、加齢とともにこれらの抗重力筋が衰えるとバランスを崩し、転倒しやすくなるのです。歩くのが遅くなったり、脚が上がらないのは、すでに抗重力筋が衰えている可能性があります。