伊東ゆかりさんは6歳で初ステージを踏んで以来、70年以上歌手として活躍している。お金の苦労もしてきたが、自分を信じて人と支え合うことで苦難を乗り越えてきた(構成=内山靖子 撮影=宮崎貢司)
家の建て替えで、80歳までローン返済
おかげさまで、77歳になった現在もステージに立ち続けられるのは、歌うことが私の元気の源になっているからだと思います。歌はもはや体の一部。人生100年時代ですから、声が出る限り歌っていきたい。
仕事を続けているもうひとつの理由は、80歳まで支払いが続くローンを組んでいるからです。2011年3月に東日本大震災が起きたとき、長年住んでいた都内の自宅がひどく揺れたので、ぺっちゃんこになるのではと怖くなって。
以来、地震のたびに不安を感じ、思い切って耐震構造の家に建て替えることにしました。そのためのお金を銀行から借りたわけです。
もちろん、80歳までローンを組むのは不安でしたよ。それまで働けるのかしら、と。でも当時、60代半ばで、「ローンを組むなら今がギリギリの年齢」と言われ、清水の舞台から飛び降りました。その支払いもあと3年ほど。きちんと払い終えるまで、仕事を辞めるわけにはいきません。
でも、一度ステージに立てば、そんなことは忘れていますよ。歌い続けるためには発声練習や体力づくりも欠かせません。週に1回はテニスやアクアエクササイズに通っています。
義務になるとつまらないし、自分で面白いと思わないと長続きしないので、面白くなるよう工夫して続けているんです。