29歳で単身フランスへ渡り、YouTubeでフランス・ナントから日々の暮らし、家族の在り方について発信する人気のYouTuber・大畑典子さん。「何を食べるかよりも誰と時間を過ごすか」「家事を頑張りすぎない」など、フランス人のシンプルな生き方は、せわしない日々を送る日本人の心に刺さるものばかりです。そんな大畑さんが綴る最新エッセイ『私が決める、私の幸せ』より、フランス流シンプルな生活と軽やかに生きるヒントをお届けします。
頭を悩ませたビザ問題
フランスに行くことを決めた私が最初に考えなければならなかったのが、「どうやってフランスに行くか」でした。
外国に住むには何かしらかの「ビザ」が必要です。私はまず「どのビザを取るか」というところから検討を始めました。
フランスに長期滞在するためのビザはなんと20種類以上ありますが、当時の私が頭を悩ませたのは、学生ビザにするか就労ビザにするかでした。
幸い、建築士としての経験もあり、英語でのコミュニケーションも問題なくできたので、初めはキャリアを優先してフランスにあるインターナショナルな建築設計事務所に片っ端から応募して就労ビザを取得する、ということも考えました。
しかし生活の質を重んじるフランスと言えど、やはり建築士の仕事はハードです。
そんな仕事環境の中では、フランスの文化を学んだり、言語を勉強したりする時間は取れそうにないことが容易に想像できました。
結局、日本での仕事環境と同じように自宅と職場の往復をして、週末は疲れ切ってしまい家に篭り、平日の仕事のために体を整える、という日々がなんとなく想像できました。
せっかくフランスに住んでいるのにフランス語が話せないまま、現地の文化を知らないままでは渡仏した意味が半減してしまいます。