麗人プロジェクト本番の様子
2023年5月にホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドで行われた「Show&Party 麗人」第1回目(写真提供:くれさん)
「マチュア」という言葉が注目されている。円熟、熟成などと訳されるが、「マチュア世代」というと大人として充分に成熟しているものの、シニアと呼ぶにはやや早い世代であるといえる。そんなマチュア世代の女性たちが、元タカラジェンヌたちと一緒にステージに立つ「Show&Party麗人2025」が今年もスタートした。
母、妻、仕事人、娘…といろいろな顔をもつマチュア世代が、非日常の世界で自分を解き放つ。過去2回の開催で、出演した女性たちはそれぞれが自分の殻を破り、様々な変化を遂げたという。
3回目となる今年は全国から集まった13人の挑戦者がそれぞれの人生を背負って本番を目指す。レッスン初日のスタジオで意気込みを聞いた。
(構成:吉田明美 撮影:本社 奥西義和)

「自分を磨くプロジェクト」

麗人プロジェクトを主宰するのは、元宝塚歌劇団のくれゆかさん。84期生として入団し、現役時代は「潮和歌(うしお わか)」という芸名の男役として宙組で活躍したが、けがなどに悩まされ、好調とスランプを繰り返しながら7年目に退団。当時は「タカラジェンヌ」としての誇りと同時に挫折感も味わったという。

その後、大学進学・就職活動・企業でのビジネス経験、国際結婚、海外赴任、3人の子どもとの暮らし等々、目まぐるしく変わる環境の変化を受け入れてきたくれさん。その経験が今のプロジェクトにすべて生きているという。

「いったん外に出たからこそわかる宝塚の魅力を再確認しました。立ち振る舞いや自分の見せ方を少し変えただけで、もっと魅力的になる方にたくさん出会ったからこそ、その極意をみなさんにお伝えしたいと考えたんです」

宝塚時代。当たり前にできるまで繰り返したタカラジェンヌとして美しくあるためのメソッドとマインドを携えて、くれゆかさんの「自分を磨くプロジェクト」がスタート。宝塚を退団してから17年目のことだった。

演技するくれゆかさんとメンバー
2024年5月東京・赤坂プリンスクラシックハウスにて開催された「Show&Party 麗人」第2回(写真提供:くれさん)

しかし、何か足りないものがあると感じたくれさん。「立ち振る舞いや表現力を磨くには『本番』の経験は欠かせません。自分を磨くプロジェクトには本番がありませんでした。もしその体験を提供すれば、受講生たちが自分の殻を破ることができると思ったんです」