集中力を保つことが苦手、整理や計画が苦手などの特徴がある発達障害の一種<注意欠如・多動症(ADHD)>。累計120万部を突破した『スマホ脳』シリーズの著者であり、精神科医のアンデシュ・ハンセンさんは「誰でも多かれ少なかれADHDの傾向がある」と話します。そこで今回は、アンデシュさんによる書籍『多動脳:ADHDの真実』から、一部を抜粋してご紹介します。
リーキー・アテンション
思考の流れが増えるとはいっても良いことばかりではない。私のADHDの患者の多くが「頭の中に常に10個くらい考えが巡っている」「脳が特急列車のように唸りを上げて走っている」と困っている。昼間は集中できないし、夜になると眠れない。ある人など──ずば抜けてクリエイティブな人だが──「思考の流れが永遠に鎮まらないせいで今その瞬間を満喫することができない」と言う。
「美しい夕陽を見ても、3秒後には『はい、きれいだったね。で、次は?』と思ってしまう。新しい考えがいくつも頭の中で弾けるんだ。周りの人は何分でもその美しい夕陽を満喫できるのに……。自分は心の平安が数秒しか続かず、すぐにまた別のことが頭に浮かんでしまう」
このように、思考の流れが増えるのは必ずしもありがたいことではないし、確かにデメリットもあるが、問題(すぐに気がそれること)ばかり気にするのではなく創造性が上がることを忘れないでほしい。
ADHDには集中困難や衝動性といった特徴があるが、集中力の欠如というのはリーキー・アテンション(思考の流れが増えること)とも関係している。それが創造性にもつながるわけだが、衝動性も創造性につながるのだろうか。実は高い可能性でそのようなのだ。