大村崑
(撮影:本社・武田裕介)
厚生労働省が公表している「令和5年簡易生命表の概況」によると、2023年の日本人の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.14年となっています。80歳以上の高齢者が増えるなか、「90代は楽しいですよ。ぼくは今、最高に幸せです」と話すのは、93歳の喜劇役者・大村崑さんです。今回は大村さんの著書『93歳、崑ちゃんのハツラツ幸齢期』から一部を抜粋し、「高齢期」を「幸齢期」に変えるヒントを紹介します。

102歳で愉快なフィナーレ

ありがたいことに93歳の今も、映画に歌に講演に、そして相撲観戦にと(笑)、日本全国を飛びまわって仕事をさせてもらってます。

インタビューなどで記者の方に、「いくつまで現役を続けますか」と聞かれることが多いんですが、ぼくの答えは、いつも「102歳まで生きることにしてます。100歳まで喜劇役者を続けて、筋トレしながらピンピン楽しく過ごして102歳で旅立つ予定です」。

なんで102歳なのか? そうですねえ。100歳であの世に行くのは、区切りがよすぎるやないですか。喜劇役者としては、ちょっと面白味が足らんのですよ。102歳がちょうどええかなと(笑)。それに筋トレで日々若返ってるから、102歳までは余裕で生きられる気がするんです。

五代目柳家小さんさん、覚えてはりますか。落語家として初めて人間国宝に認定された方です。永谷園の即席みそ汁「あさげ」のコマーシャルでも親しまれました。あの方は亡くなる前夜、「ちらし寿司が食べたい」と出前をとってペロリと食べ、「明日は、いなり寿司にしてくれ」と言い残して寝室に行ったまま、起きてこなかったそうです。これぞ大往生! 憧れますねえ。ぼくも、そんなふうにサラッと旅立ちたいものです。