noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬についてのエトセトラ」。第8回は「美人が羨ましい!ルッキズム地獄」です
ルッキズムは愚か。でも美人が羨ましい
「この写真、加工してるでしょ! 背景めちゃくちゃ歪んでるし!」
誰かが写真をSNSにあげていると、真っ先に背景の空間の歪みを探してしまう。他人が写真を加工して「かわいい」とチヤホヤされていると気に入らない。
「みなさーん! この人、加工してますよ。本当はもっと顔がでかいですよ!」
え……私? しっかり加工してますよ。だってかわいく見られたいし。
容姿で人を評価するのはルッキズムと呼ばれ、望ましくないとされている。が、そうは言っても実際にはSNS、テレビ、学校、職場、どこを見ても美しい人が真ん中で目立っている。
容姿だけで人を判断することは愚かだし、容姿以上に中身が大事だとは思うけれど、できることなら少しでもキレイになりたいし、美人を羨ましく思う。
「もう隠さない! 塗るだけで目の下のクマが消えて自信のある目元に!」
「一日一回飲むだけ。たった1カ月でマイナス5kgの魔法の漢方薬!」
SNSを開くたび、うんざりするほど飛び込んでくる美容系の広告。うんざりといいつつ、つい目が止まってしまう。クマが消えるの? いくらするんだろう。こうしてじっくり見るから、さらに美容系の広告が増える。