田村セツコ
今日のお洋服はこんな感じ。やっぱりエプロンは欠かせません。(写真:『田村セツコの私らしく生きるコツ 楽しくないのは自分のセイ』より)
人生は計画どおりにはいかないことも多いものですが、87歳のイラストレーター・田村セツコさんは、「どんなときでも、ピリピリした緊張感を持たずに生きていけたら」と話します。今回は、田村さんの著書『田村セツコの私らしく生きるコツ 楽しくないのは自分のセイ』から一部を抜粋し、毎日がきっと楽しくなる、自分らしく生きる秘訣を紹介します。

自分だけの空間

誰にでも、なんとなく気持ちがふさいだり、落ち込みやすい日というのがあると思います。そんなときのために、私が大切にしているとっておきの方法をご紹介します。

まず、自分だけの居場所をつくること。そこにいればほっと安らぎ、安心できるプライベートパラダイス。そんな空間を、ぜひつくってみてください。

家の中に自分の部屋がなくても大丈夫。キッチンの隅に、お気に入りのポストカードや好きな雑誌の切り抜き記事を貼っておくだけでもいいのです。小さなコップにさっと1輪、お花を生けてみるのもすてき。魔法の杖をひとふりするような気持ちで、試してみてください。

子ども時代、父の勤めの関係で官舎に住んでいたため、私には自分だけの勉強部屋というものはありませんでした。でも、「縁側の隅を自由に使っていい」と言われていたので、私はそこに空き箱を使って机を作り、後ろにギンガムチェックのカーテンをかけたのです。

はたから見れば隅の一角にすぎないけれど、私にとってはそこは立派な“自分だけの部屋”。カーテンをさっと引けば、いつでもそこは自分の好きな世界に早変わり。家の中で、一番お気に入りの場所でした。