警察庁の発表によると、令和6年に自宅で死亡した一人暮らしの人は7万6020人でした。孤独死する人が年々増加傾向にあるなか、文筆家の門賀美央子さんは、「ひとりっ子親なし配偶者なし子なし」の人が「いかに部屋で腐らず、綺麗に人生を閉じるか」について指南しています。今回は、門賀さんの著書『死に方がわからない』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
お墓をどうすればいいのかわからない
さて、遺体の始末はまだまだ終わらない。むしろ、燃やしてからが本番である。
墓の問題だ。
タイムリーなことに、ちょうどこれの執筆に取り掛かる少し前、郵便受けに墓地の広告が入っていた。私が住んでいる辺りは高度成長期に宅地造成が進んだ地域なので、超高齢社会の最前線になっている。勢い、広告には老人を対象にしたものが多く、お墓販売のチラシも時々投函される。需要が高いのだろう(追記・コロナ禍後はぱったり途絶えた)。
今回のチラシの広告主は、隣接する市にある霊園の販売事務所だった。運営主体は公益財団法人である。海が見える小高い丘に位置する公園墓地で、敷地内には墓地のほか、日本庭園や地域の特産品を売る販売店もあり、ちょっとしたピクニック気分で墓参できるようになっている。当然駐車場は完備、自動車がなくても最寄り駅から公営バスで徒歩10分の場所まではたどり着けるし、盆正月春秋彼岸には最寄り駅から送迎バスが出る。
東京からだと車で1時間半、公共交通機関利用で2時間弱。横浜だと車で1時間、公共交通機関利用でも1時間半ほどなので、ドライブあるいは行楽がてら利用できる感じだ。霊園内が遊山仕様なのはそのためだろう。