1992年吉本新喜劇に入団し33年。コメディアン、歌手、舞台など多才な活躍を続けている藤井隆さん。独特の空気感で時代を軽やかに駆け抜ける藤井さんは、日々どんなことを考えているのでしょうか。「人付き合い」「仕事」「生い立ち」など様々なお題に答える形式で綴った書き下ろしエッセイ集『マ・エノメーリ』(KADOKAWA)から、一部を抜粋して紹介します。
Q.「生き方」に強く影響を受けた人はいますか?
父も母も兄も手先が器用で手づくりすることが多い家に育ちましたので、一旦作ってみる、無理なら買う、もしくは諦めるというボクの基本的な性格に強く影響を与えてくれたと思います。
結婚して、家族には改めて自分が生きる理由を教えてもらえたと思うので、大人になってからですが、また影響を与えてくれたと思っています。
自分にとって学校以外で初めて社会を経験することができた高校時代のアルバイト先で出会った方々も影響を与えてくださいました。その当時の教えを今もふと思い出すことがあります。なので強く影響を与えてくださいました。
「遅刻しそうな時こそ、焦るな」
これは俳優の秋山菜津子さんに教わりました。随分昔、舞台の稽古で焦って運転して間に合ったことを話した時に教えてくださいました。
「稽古も本番も事故したら取り返しがつかないから。それなら遅刻の方がまし」
本当にそうで、遅刻しないように心がけていましたが、考え直す機会をいただきました。そんな秋山さんは開始5分前に涼しい顔して稽古場に到着されて軽くストレッチを始めたりする日があって、そんな時は離れた席から「よっ! ぎりぎりなっちゃん!」と心の中で声をかけています。
20代、旅行でベルギーに行った時、ユースホステルで同室になった年下のスイスから来た青年、Cクンにも大きく影響を受けたと思います。