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最後の夜にあのパブにふたりで行った。

すると最初の日に会った失業したふたりが居てCクンとボクを見つけて笑顔で「待ってた!」と言った。Cクンに説明してもらいながらふたりの話を聞くと、数日後、ふたりで仕事が決まったそうだ。

「あの時あなたたちが励ましてなぐさめてくれたおかげであの日は立ち直れた。そして仕事が見つかったの。ふたりは私たちにとって幸運の象徴よ」のようなことを言って「今度はお礼に私たちにおごらせてね!」とビールをご馳走してくれた。

Cクンは本当に自分のことのように仕事が決まったことを喜び、真正面からふたりに伝えて幸せを、喜びを、分かちあっていた。

ボクはといえば、ずーっと、自分を恥じていた。

翌日、駅で隣同士のホームから出発することが分かり、予定の無いボクはCクンを見送るつもりで電車に乗り込んだCクンに手を振っていたら、出発間際にCクンが電車から降りてきた。乗る予定だった電車は出発し「どうした?」と聞くとやっぱり自分が見送るとCクンが言い出した。

優しいCクンは一緒にいる時、頼もしくて一瞬も年下と感じたことがなかったのに、「歳が上のタカシを歳下の自分が見送る」と言い譲らなかった。