答えを教えてくれたのは
今、30年以上経って、Cクンはどんな人になってるのかなと想像する時がある。
何かのエンジニアになると言っていたCクンはきっと優秀なエンジニアになって世の為や人の為に笑顔で働いてるのかな。それからずっとCクンがベルギーの街でボクにしてくれた優しい出来事の数々が心の中にずっとあって、Cクンのような心の動きと立ち振る舞いを真似したいと思っていました。
その答えがはっきりとわからないまま、下手なまま真似してきましたが、ズバリ教えてくれたのは叔母のYOUさんでした。
「自分が快適じゃないと人に優しくなんてできない」
ズババババーーーーン! これが真理。外ヅラが良い子供時代を過ごしたボクは、人に合わせたりしがちでした。それでいて、終わってから不服そうな顔をしていたから注意を受けたものでした。CクンもYOUさんも自分が先ず快適か判断して、その次にまわりへの優しさや気配りの輪が広がっているように思いました。
自分が辛いのに無理して他者ばかりに向いてると、どこかで壊れてしまうのは当たり前で、やっぱり先ず自分。Cクンもゆっくり食べたいからサンドイッチにしたし、飲みたいからパブに行ってるわけで、なにも無理をしていなかったのです。
この考えとの出会いは本当に「自分」に大きく関わっていて、性格が少し変わることができた気がしています。
※本稿は、『マ・エノメーリ』(藤井隆:著/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
『マ・エノメーリ』(著:藤井隆/KADOKAWA)
藤井隆の「素」があふれたオール本人書き下ろし、初エッセイ集。唯一無二のコメディアンが「人付き合い」「仕事」「生い立ち」「得意不得意」「もしも」の話を本音で「前のめり」に語り尽くす。
なるべく「平等で清潔で楽しそう」なほうへ。全世代に読んでほしい、優しく背中を押してくれる珠玉の一冊。