効果的な減量法がなかなか見つからず、悩んでいる人は多いのではないでしょうか。内科医の奥田昌子さんは、「欧米人とは異なる“日本人の体質に合った”痩せ方がある」と指摘します。そこで今回は、奥田さんの著書『これをやめれば痩せられる: 医学的に正しい ダイエットNG習慣ランキング』から一部を抜粋し、お届けします。
駅ではエスカレーターより階段を
わかってるよ。結局、しっかり運動しなきゃ痩せないんだろ? でもさ、正直、階段で上がるのって、ちょっと恥ずかしいんだよね。いかにも健康に気をつかってます、運動してまーす、って感じがするじゃない。痛い人っていうかさ。
いや、それは考えすぎでしょう。健康重視、上等です。当たり前のようにエスカレーターを使っている人は、周囲の状況が目に入らないかもしれませんが、階段で上がる人は少なくありません。エスカレーターに乗ろうとして、ごちゃごちゃと並んでいる人たちを尻目に、さっと階段で上がるほうが早いですし、優越感にひたれるというものです。
ちょっとくらい動いたって、たいした運動にならないだろうと、あなどってはいけません。日常生活での、座る、立つ、歩くなどの動作が内臓脂肪の蓄積にどう影響するかを調べた研究があります。
参加したのは約3500人の日本人で、結果は2020年に公表されました。平均年齢は約58歳で、年齢、性別、飲酒、喫煙、生活習慣病に対する治療の有無、睡眠時間、ジムに行くなどの運動量が結果に影響を与えないように、データを調整してあります。
すると、普段の運動量にかかわらず、座っている時間が長くなるごとに内臓脂肪が増加して、立っている時間や歩いている時間が長くなるにつれて内臓脂肪が減少することが明らかになりました。ジムに行ったり、週末はゴルフをしたりしていても、油断できないわけです。
電車で空いた席を目がけて駆け寄るのをやめて、つり革を持って立っているだけでも脂肪は燃えます。姿勢を保つために筋肉が活動するからです。