(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
総務省が2024年9月に発表した「統計からみた我が国の高齢者」によると、日本人のおよそ10人に1人が80歳以上と推計されるそうです。高齢者の介護をする人も増えるなか、自分の両親と子どものいない叔母夫婦4人の介護を経験したフリーライター・こかじさらさんは、「高齢者介護にきれいごとは通用しない」と語ります。今回は、こかじさんの著書『実際に介護した人は葬式では泣かない』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。

赤飯を食べてご満悦の父

父の日に事件は起こった。

「お義父さん、**屋さんのお赤飯好きでしたよね」

義姉が父のお気に入りの和菓子屋さんの赤飯を持ってやって来る。

「おっ、赤飯かあ」

「父の日だからだって。よかったね」

「そうか、今日は父の日か」

ご満悦の父は、「旨い、旨い」と言ってお昼にその赤飯の半分を食べ、「残りは夜ご飯のときに食べるから」と楽しみにしていたのだ。