ハンガーストライキに打って出る父
「嘘言えー! さっき、Yさんにあげてただろ。何を勝手なことしてんだ!」
これは、どう考えても母が悪い。
「残ってたから、もう食べないと思って」
あれー、つい数秒前には自分が食べたって言ってませんでしたっけ。しかも、父から指摘されたYさんにあげたという事実を曖昧に済ませようとしたものだから。
「もういい。俺は、おめーの作ったものは食わねーから」
へそを曲げた父がハンガーストライキに打って出る。
子の心、親知らずとでも申しましょうか。あなたたちは、それじゃなくても手が掛かるんですから、これ以上しなくてもいい仕事を増やすようなことをしないでくれませんか。
そう心の中でつぶやいてはみたが、当然老父母に届くわけがない。