身近に生える植物たちには、図鑑には書かれていない多くの秘密があります。そこで今回は、雑草学を専門とする、静岡大学大学院教授・稲垣栄洋さんの著書であるエッセイ風ミステリー『雑草教室-図鑑が教えてくれない植物たちのひみつ』から一部を抜粋し、「植物サークル」の学生たちとともに植物の謎を解明していきます。稲垣教授は、メンバーの出雲さん、瀬戸田くんと「お茶」の秘密に迫るそうで――。
お茶の持つカフェインやカテキンの効果
「ところで、雑草サークルの諸君……」
3杯目のお茶を飲み終わった稲垣教授が言った。
「お茶の持つカフェインやカテキンは、雑草の発芽を抑制する効果があることで知られている」
「お茶の葉に雑草を抑える力があるんですか?」
「そうだ」出雲さんの質問に稲垣教授が答えた。
「だから、この急須に残ったお茶の葉を土に撒くと、雑草の発生を防ぐことができる」
「でも、畑に撒く茶ガラを用意するほど、たくさんのお茶は飲めません」
「そうだね。ただ、飲料メーカーでは大量の茶ガラやコーヒー粕が排出されるからね。将来的には利用できるかもしれないね」