女優の室井滋さん(左)と、老いの専門家・伊藤裕さん(右)(撮影:村山玄子)
文字が見えにくい、つまずきやすい、顔がたるんできた、人の話が聞きとりづらい――。それは、体に溜まった《負債》によるもの。女優の室井滋さんが、老いの実体験をもとに専門家に疑問をぶつけました(構成:野本由起 撮影:村山玄子)

前編よりつづく

ダラダラ食いは腸の能力を低下させる

室井 私は自分なりの健康法を実践していますが、老化を遅らせるには、ほかにどんな習慣をつけるといいのでしょうか。

伊藤 大事なのは3つ。食事、運動、マインドフルネスです。

室井 やっぱり食事はすべての基本なのですね。

伊藤 私は、プチ断食をおすすめしています。とはいえ、痩せることが目的ではありません。シニア女性は、エネルギーの貯蓄や体温調整の観点から言っても、多少の皮下脂肪があったほうがいいですから。

具体的には、何も食べない時間を1日のなかで12時間作るというものです。たとえば夜7時に夕飯を食べ、朝7時の朝食まで何も食べないというふうにしたら、そんなに難しくない気がしませんか?

室井 確かに。どんな効果があるのでしょうか?

伊藤 常にダラダラと食べていると、腸の処理能力が落ち、最終的に栄養素を吸収できなくなってしまいます。半面、腸に栄養を与えず飢餓状態にすると、胃からグレリンというホルモンが分泌されて、生きるためのエネルギーをたくさん作るよう脳に働きかける。すると、体が活性化するわけです。いわば、ショック療法のようなものですね。