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定年退職後、セカンドライフとしてあたらしいことに挑戦する元気な人がいる一方で、「ずっと家にいる」「急に元気がなくなった」といったように、活動意欲が低下してしまう人もいます。この違いについて、脳科学者の茂木健一郎さんは、「脳に新しい刺激を与える『生きがい』を持っているかどうかだ」と語ります。今回はそんな茂木さんの著書『60歳からの脳の使い方』から一部を抜粋し、ご紹介します。

記憶力の低下は脳の使い方次第で防げる?

中年以降になると多くの方が懸念するのが物忘れや記憶力の低下です。しかし、その原因は、実は年齢だけではありません。

かつての研究では、脳の記憶力や学習能力は若い頃にピークを迎え、その後機能は下降するものだと思われていました。

ところが最新の研究によると、大人になっても脳の細胞は新たに生まれ続けることが明らかになっています。つまり、年齢に関係なく、新しい知識を学び、なんらかのアクションを起こし、日常生活の中で一定の負荷や刺激を与えることで、記憶力は高まっていくのです。

近年はスマートフォンなど便利な道具に頼りがちで、脳を積極的に使う機会が減っているのも事実でしょう。

もし物忘れが気になり始めたら、「いまが脳を鍛える絶好のチャンス」と前向きにとらえてみてください。年齢にとらわれずに脳を積極的に活用することが、いくつになっても豊かで幸せな人生を送る第一歩になるはずですから。