厚生労働省の実態調査(令和6年)によると《労働者の8割以上が強い不安やストレスを感じている》とのこと。「寝ても疲れが取れない」「休日もリフレッシュした気がしない」など、産業医に対して【うまく休めない】という内容の相談が増えているといいます。そこで、東京大学で「職場のメンタルヘルス」を研究、また実際に、産業医として活躍する佐々木那津さんの著書『働く人の最高の休み方』より、一部を抜粋して紹介します。
外では元気に見える人ほど危ない「燃え尽き症候群」
もともと、一部の人には、周囲の環境に合わせるために複雑な行動様式をコピーし、学習した結果を適応する「社会的カモフラージュ行動」が見られることが知られていました。
つまり、周りから見たら問題がなく、うまく集団に溶け込んでいるようでも、本人は無意識に周囲に合わせて頑張りすぎて、精神的な疲労やストレスが増大し、メンタルヘルスが悪化することや、いきなり環境への拒否反応が強く出ることがあるのです。
「テレワークだとラク」という人の一部は、もしかすると社会的カモフラージュ行動をいつもとっていて、もともと集団場面では疲れやすいのかもしれません。
今まで熱心に働いていた人が、いつしか仕事に対するネガティブな気持ちが強くなり、就労意欲が低下することがあります。原因は、がむしゃらに熱心に頑張りすぎた結果、心が消耗したことです。
この状態を「バーンアウト」(燃え尽き症候群)といいます。
バーンアウトは、仕事のパフォーマンスを下げるだけでなく、モチベーションを著しく低下させます。