「25歳で芸能リポーターとしてデビューしてから、いつでも一番のファンとして応援してくれていたのが母だったんです」(撮影:宮崎貢司)
9年にわたる介護を経て、2020年に母親を見送ったリポーターの菊田あや子さん。「相思相愛だった」というほど大好きな母親のケアを、同居せずにやり切ったそう。遠距離介護にこだわった切実な思いを聞きました。(構成:山田真理 撮影:宮崎貢司)

前編よりつづく

明朗会計でトラブルを避ける

悩みどころはその施設が実家からかなり離れており、タクシーで片道4000円かかること。東京から通うための交通費もバカになりません。

でも、いくら大好きな母のためとはいえ、同じくらい大好きで大切な仕事をやめて地元に戻るという選択肢はありませんでした。

25歳で芸能リポーターとしてデビューしてから、いつでも一番のファンとして応援してくれていたのが母だったんです。テレビで私を見ては「あや子ちゃん可愛い、頑張ってる」と喜んでくれていた。だからこそ、東京で仕事をしながら介護を続けました。

施設に入ってからも、テレビに映る私を見て母が笑顔になっていると知り、この選択は正しかったと確信したものです。何かのまちがいで半年間だけ結婚していた時期には(笑)、東京に家庭もありましたしね。

おそらく多くの人にとって、問題になるのがお金のことでしょう。介護はそれなりに長い期間のことなので、それは当然。わが家も、「どれくらい必要か、誰が母のお金を管理をするのか」ということをきょうだいで話し合いました。

私が母の施設探しをすると決めた後、長兄が「署名と捺印をするように」と渡してきた書類には、母名義の預金の預け先と残高が細かく記載され、収入印紙まで貼ってあったのでびっくり(笑)。義姉が元銀行員なので、お金に関してはしっかりしてるんですよ。そして通帳と銀行印を渡されて、「これからはすべてお前が管理しろ」と。