元宝塚歌劇団雪組娘役の早花まこさん
2025年は第二次世界大戦の終結から80年という大きな節目にあたります。戦時中、日本のエンターテインメント界も大きな影響を受け、宝塚歌劇団の団員も激動の時代を生き抜いてきました。戦中・戦後の混乱期に活躍した団員に、元・タカラジェンヌの早花まこさんが話を聞き、華やかな舞台の裏で戦争がもたらした現実を振り返り、記憶にとどめる企画です

「第二の人生」のスタート

2020年の春、私は18年間在団した宝塚歌劇団を卒業した。当時はまだ使い慣れていなかった「新型コロナウィルス」という名称が報道番組で聞かれるようになり、世界中の人たちの日常が様変わりしつつあった、まさにその時期だった。

未知のウイルスによって公演が中止に追い込まれ、前例のない状況だったが、出演者、スタッフの方々、観客の方々までが協力しあって困難を乗り越えようとしていた日々だった。

宝塚歌劇団での長いキャリアの後に始まった「第二の人生」は、こんなふうに極めて特殊な状況でスタートを切った。