「体力の衰えを感じはじめた」「老後のお金が心配」60代以降は健康やお金などあらゆる面で不安が募りがちです。ところが、2025年で65歳を迎えた精神科医・和田秀樹先生は「特に65歳からは、この世は『楽園』だと思って、あらゆる意味で『自由に』生きてこそ、本当に自分らしい人生を送ることができる」と、語ります。そこで今回は、和田先生の著書『65歳、いまが楽園』から、一部を抜粋してお届けします。
「シニア世代=貧困」という刷り込みに要注意
テレビをつければ、朝のワイドショーでは毎日のように、年金だけで生活しているというシニア世代が物価高に苦しみ、切り詰めた生活を送っている様子が報じられています。
そういう映像を繰り返し目にすれば、「シニア世代=貧困」というイメージが自然と刷り込まれ、「自分も将来そうなるのではないか」と不安になるのも無理はありません。
しかし、少し冷静になって見てみれば、取材されているのは年金の受給額が極端に少ない、たとえば3万円とか5万円しかもらっていないというような、かなり特殊なケースばかりです。
そうした方々は、若い頃に保険料をほとんど納めていなかったり、厚生年金に加入していなかったりといった背景を持っている場合が多く、年金制度の恩恵を十分に受けられない構造的な理由があります。
しかも、仮に本当にそのわずかな年金だけで生活せざるを得ないのであれば、それはすでに生活保護の対象になり得る水準です。