「最近は年の半分近くを北海道で過ごし、仕事がある時は横浜で暮らしているんです」(撮影:浅井佳代子)
13歳でデビューして以来、84歳を迎えた現在も活躍を続ける倍賞千恵子さん。しかし、年齢を重ねていくなかで、大きな病気やケガも経験したと言います。これまでどのように自分と向き合い、動ける体を維持してきたのでしょうか。(撮影:浅井佳代子 構成:篠藤ゆり)

骨密度は年相応だったのに

私はもう30年以上、北海道・別海町と横浜との二拠点生活を送っています。1980年の映画『遙かなる山の呼び声』で北海道ロケをして以来、自然豊かで雪景色も美しいこの土地が大好きになってしまって。

最近は年の半分近くを北海道で過ごし、仕事がある時は横浜で暮らしているんです。そんな生活をゆったりのんびり続けているわけですが、2023年の5月に思いがけない事件が起きました。

北海道の友人たちや夫の小六さん(作曲家の小六禮次郎さん)と、愛媛県・松山の道後温泉に出かけた日のこと。

松山空港に到着し、通路をルンルン気分でスキップしながら歩いていたら、絨毯に足を取られて派手に転んでしまったんです。いかにもそそっかしい私らしいのですが(笑)、出血もしているし、何より痛くて痛くて……。

急遽、夫と友人たちが病院に連れていってくれて精密検査を受けると、なんと大腿骨を骨折していたんです。その時に頭をよぎったのは、1ヵ月後に控えたコンサート。

慌てて東京に引き返して主治医のいる病院に入院し、翌日には人工関節を埋め込む手術を受けました。そこからとにかくリハビリを頑張って。コンサートに間に合ったのは、奇跡だったと思います。