映画『ノンちゃん雲に乗る』でデビューして以来、俳優や歌手として活動する鰐淵晴子さんは、80歳にして暮らし方を大きく変化させました。東京を離れて始めた新生活では自然に囲まれ、感覚が研ぎ澄まされているそうです。(構成:篠藤ゆり 撮影:宮崎貢司)
この地には人との触れ合いがある
私が暮らしているのは別荘が多い地域で、移住者に加え東京と二拠点生活をしている方もけっこういらっしゃいます。そんな方々と知り合いになって、お庭でとれた野菜をお裾分けしていただいたり。
新鮮だから生で食べても、オリーブオイルでさっと炒めただけでもおいしいんです。そうだ、私も何か育ててみようと思って、目下ジャガイモとシイタケを栽培しています。
ただ、自分のためだけに料理をするのはちょっと面倒。誰か食べさせてあげたい人がいたら作るんだけど(笑)。30分くらい歩くとおいしいパン屋さんやコーヒーのお店があるので、運動と食事がてら歩いて行くんです。疲れたら、休み休み。
ときには娘が2人の孫を連れてきてくれます。上の男の子は小学校3年生、女の子は1年生。上の子はピアノを習っていますが、近々、下の子にヴァイオリンを習わせるつもり。彼らにはいろいろな未来があるけれど、一つでも大切だと思えるものがある人生は素晴らしいから。
私にとって、それは音楽ね。聴くのも大好きで、クラシックだけではなくロックもヘビメタも聴きますし、沖縄の民謡なども好きです。音楽を通して、人の気持ちや愛、人生の厳しさやつらさなど、すべてわかる。
ネガティブな気持ちが湧きそうになったときも、音楽が癒やしてくれ、別の世界に連れていってくれます。