「高品質な服」と聞いて、欧米のハイブランドをイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、アパレル商社でデザイナー兼パタンナーを務めているリサさんは、「日本製の服にも、高品質で着心地のいいものがたくさんあるのです」と語ります。そこで今回は、リサさんの著書『なぜ日本製の服は着心地がいいのか』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
日本の貝ボタン産業のすごい技術
どんな貝が使われていた?
貝ボタンは、明治時代に日本各地で生産されました。
当時は、貝の生息地で採取・加工された貝殻が貿易商人(主に外国商人や日本の仲買商)によって輸入され、日本へともたらされました。原材料となる貝殻は、原貝(げんがい)と呼ばれています。
日本で加工された主な貝種・生息地は以下のとおりです。
・白蝶貝:タヒチ、パプアニューギニアなど
・黒蝶貝:南太平洋にある多数の島々、東南アジア
・夜光貝:沖縄本島、奄美群島、八重山諸島、トカラ列島など
<『なぜ日本製の服は着心地がいいのか』より>
一口に貝ボタンと言っても、使う貝が変われば見た目や品質は大きく変わります。強度や耐久性、加工の向き不向きなどがあるため、貝ボタンに向く貝が厳選され、日本の産地へと送られました。