当然、マウスウォッシュ中は会話ができないが…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは愛知県の50代の方からのお便り。歯周病予防に、夜寝る前のマウスウォッシュを数分間しているそうなのですが――。
遺伝子のなせる業
歯周病をとても怖がっている私。親、親戚、きょうだいがみんな歯周病なのだ。朝、昼、夜の食後の歯磨きはもちろんのこと、夜寝る前にマウスウォッシュの液を数分、口の中でくちゅくちゅやっている。
当然、マウスウォッシュ中は会話ができない。夫に何かを伝えたい時は、喉の奥で「うーーーううう、うう、うう」みたいに声を出し、さらにジェスチャーで表現する。それを夫は、全然わかってくれない。
「え? 炊飯器のスイッチを入れるの?」「ううん!(ちがう!)んんんんんん」「テレビを消すの?」「ううん!」。やがて夫が「わからん! 液を吐き出してから言って」と不機嫌になる。どうしてわかってくれないの? こんなにわかりやすく表現しているのに。
その証拠に、娘たちはちゃんとわかるんだもの。さらには5歳の孫娘も、「このかごをそっちへもっていって、せんたくものをここにまとめておけばいいんだね」と言ってくれた。複雑なお願いまで伝わって、私は満面の笑みで、ガッツポーズ。
でも、娘のお婿さんたちにも全然伝わらなかった。「これは血だね」と娘たち。遺伝子のなせる業だ。娘と孫には私のDNAがある。お婿さんと夫にはない。
なるほど、そういうことかと納得した。