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「介護をしている方。がんばりすぎていませんか――?」介護の現場で生活相談員として働くのぶさんは「介護する人を支えるために、ぼくたち介護職がいます」と語ります。介護現場での心温まるエピソードや、介護のコツをXで発信し、フォロワーは3.7万人を超えるのぶさん。そんなのぶさんが伝えたい<読むだけで心がラクになる>メッセージを集めた著書『読むだけで介護がラクになる本』より、一部を抜粋して紹介します。

自宅と同じような生活を続けられる

世間では「老人ホームは不自由な場所」というイメージがあるかもしれませんが、実際は好きなものを食べたり、外出したりする自由もあります。

ある日の入居相談。

「施設に入ったら死ぬまで家に帰れないんだろ〜」「この家から離れるのはやっぱり寂しい〜」「お父さんを困らせたくないから言われた通りにするけどさ〜」「もうあっちに逝きたい」

ご家族に施設入居を伝えられて、気持ちが沈んでいた94歳の女性。

老人ホームでできることを全力でご説明しました。

・ご家族の理解があれば外出、外泊はいつでもOK
・ご家族の面会もいつでも可能
・週イチで出前(ラーメン等)をとる方もいる
・危険物以外は何を持ってきてもOK(生き物は要相談)
・今まで通っていた、なじみの理容室にお連れします
・自宅にいたときの習慣はぜひ続けてください(たとえば毎朝の乳酸菌飲料、晩酌の日本酒……)

そうしたら、泣きそうだった女性の目はキラキラ輝き出し、「仕方ない。試しに行ってやってもいいかな」とひと言。心の中でガッツポーズした瞬間です。

老人ホームは楽しい!と伝えるのが、相談員としてのぼくの役目だと思っています。