歌手、俳優の美輪明宏さんがみなさんの心を照らす、とっておきのメッセージと書をお贈りする『婦人公論』に好評連載中「美輪明宏のごきげんレッスン」。11月号の書は「大正ロマン」です。
和と洋が融合する文化、大正ロマン
以前、ラジオ番組のパーソナリティを務めていた頃、東京のおすすめ散歩コースとして文京区の弥生美術館を取り上げたことがありました。ここでは明治・大正・昭和の挿絵画家による作品を見ることができます。
大正デモクラシーを背景に、自由を謳歌する風潮が強まった時代に流行した、和と洋が融合する文化が大正ロマン。当時おおいに流行ったのが、ロマンチシズムあふれる叙情画です。
叙情画というと、竹久夢二を思い浮かべる人が多いかと思いますが、高畠華宵(たかばたけかしょう)もその一人。雑誌の挿絵で美少年や美少女を描き、当時の若者に絶大な人気がありました。華宵が描く人物絵は両性具有的な不思議な美しさがあり、ジェンダーレスな感性がうかがえます。

