(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
大切な人やものを失ったとき、人は喪失感を抱くものです。高齢者専門の精神科医として、多くの患者やその家族と向き合ってきた和田秀樹先生は、「喪失は誰もが避けては通れないものであり、喪失感を抱く状況は、人生が長くなればなるだけ増えるもの」と語ります。そこで今回は、和田先生の著書『喪失感の壁-きもち次第で何があっても大丈夫』から抜粋し、実際の相談事例とともに、さまざまな喪失感とどう向き合い、どう乗り越えていくかの具体的なヒントをご紹介します。

長年の友人と話が合わなくなってきた

定年後のシニアライフをそれなりに楽しんでいますが、もっとも気が合うと思っていた長年の友人と、話が合わなくなってきたことが気がかりです。

新卒入社した会社の同期で、お互いにゴルフなどの趣味や酒の席が好きだったこともあり、私が転職したあとも交流が続いていました。

しかしコロナ禍以降、友人は外で飲み歩くのを控えるようになったそうです。また以前は「仕事をやめて時間ができたら海外へゴルフ旅行に行こう」などと盛り上がったのに、最近はそういった話をしても言葉を濁されてしまいます。定年後の再雇用で自由に使えるお金が少なくなったとも言っていたので、それも関係あるのかもしれません。

数少ない付き合いの長い友人なので、関係は続けていきたいのですが、あまりしつこく誘うのも良くないかと思っているうちに、若干疎遠になりつつあります。

同じように楽しく過ごせる相手はほかにおらず、これまでの時間を思うと寂しいのですが、どのような気持ちで向き合えばいいでしょうか。 (60代前半・男性)