1月4日から、2026年NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の放送がスタートしました。仲野太賀さん演じる本作の主人公は、天下人・豊臣秀吉の弟である豊臣秀長です。歴史の教科書にも載っていない彼は、いったいどのような人物なのでしょうか?今回は、書籍『図解 豊臣秀長』をもとに、歴史研究者で東大史料編纂所教授の本郷和人先生に解説をしていただきました。
若き日の秀長の活躍は“伝説”?
秀長は史料が少なかったり記述が違っていたりして、その出自にはっきりしていない部分が多くある人物です。
実は、秀長の存在が史料の上ではっきりしてくるのはかなり遅く、太田牛一(おおたぎゅういち)という織田信長の家臣が書いた信長の伝記『信長公記(しんちょうこうき)』に「木下小一郎長秀」として名前が出てくるのが、秀長に関する最も早い記録と考えられています。
『信長公記』によれば、天正2(1574)年に越前(現在の福井県)の一向一揆勢と戦うために敦賀へ進軍していた秀吉の代理として、当時は「長秀」と名乗っていた秀長が伊勢(現在の三重県)に派遣され、伊勢長島の一向一揆勢と戦いました。
秀吉が発した文書の中に秀長が初めて登場するのは同6(1578)年のことで、のちに秀吉の参謀として活躍する小寺官兵衛(のちの黒田孝高)を味方に引き入れるために出した手紙の中で、官兵衛のことを「自分の弟の小一郎(秀長)と同じくらいに心から親しく思っている」と書いています。秀吉が、弟の秀長を心から信頼している様子がうかがえます。