イメージ(写真提供:Photo AC)
身近な人に看護・介護が必要になったとき、みなさんはどこに相談しますか?
総合的な相談先として、主治医の所属機関を問わず、活用できるのが「訪問看護ステーション」です。
その地域に開かれた独立した事業所である「訪問看護ステーション」に、黎明期から関わり、自ら起ち上げた「桂乃貴メンタルヘルスケア・ハートフル訪問看護ステーション中目黒」で、自分自身も看護に当たるのが渡部貴子さん。
自らの経験を元に、介護や看護で困っている方への質問・疑問に答えてもらうのがこの連載です。第28回目は、「心の扉を開く『3つの鍵』」についてです。
(構成:野辺五月)

前回「介親の介護をめぐる不公平感をきょうだいに「分かってもらう」ために必要なことは?感情と事実を分けて実務を見ること」はこちら

「3つの鍵」を使ってアプローチを変えてみる

実家に戻って、親の将来を思って提案したのに「放っておいて!」「まだ大丈夫!」と一蹴されてしまう……。良かれと思って言ったことだけに、拒絶されるとこちらの心も折れかけることもあるでしょう。

でも、お母様が頑固に拒否するのには、ちゃんとした理由があるはずなのです。今回は、シャットダウンしてしまった親子の対話をふたたび動かすためのヒントを探っていきましょう。

Q:母が頑固で「介護」の話をすると怒り出します。

実家に戻った際、足腰の悪い母に介護の話を持ちかけましたが、「絶対いや」の一点張りで話を聞いてくれなくなりました。翌日は別の話題でやり過ごしましたが、この先が思いやられます。どう切り出せばいいのでしょうか。

A:拒否の裏にある不安に寄り添い、主語を「自分」に変えてみませんか。

親が介護を拒む一番の理由は、実は不安です。今まで当たり前にできていたことができなくなる無力感。知らない人を家に入れる怖さ。そして何より「子どもに迷惑をかけたくない」「ダメな人間だと思われたくない」という強いプライド(自尊心)が、拒絶という形になって現れるのですね。

「年なんだから」「危ないから」と正論で追い詰めると、お母様はさらに心を閉ざしてしまいます。一旦引いたあなたの判断は、大正解ですよ。その上で、次のような3つの鍵を使ってアプローチを変えてみませんか。