〈2/22は猫の日。発売中の『婦人公論』3月号から記事を先出し!〉
ご自身の生きるうえでの「ものさし」だったという愛猫のまるを、2020年に見送った養老孟司さん。一方、野良から迎えた6匹の猫を育て、それぞれの生涯を見届けた室井滋さんは、「面倒を見てもらったのは自分だった」と語ります。猫が人間に教えてくれることは少なくないようです。かけがえのない存在の老いや看取りを経験したお二人が語り合います(構成:篠藤ゆり 撮影:清水朝子)
ご自身の生きるうえでの「ものさし」だったという愛猫のまるを、2020年に見送った養老孟司さん。一方、野良から迎えた6匹の猫を育て、それぞれの生涯を見届けた室井滋さんは、「面倒を見てもらったのは自分だった」と語ります。猫が人間に教えてくれることは少なくないようです。かけがえのない存在の老いや看取りを経験したお二人が語り合います(構成:篠藤ゆり 撮影:清水朝子)
《死》については考えない
室井 長く猫を飼っていると、そろそろ別れが近いとわかるようになります。うちの6匹はみんな十分生きたし、病院で最後の時間を過ごすのはかわいそうな気がして、1匹を除いて私の腕の中で亡くなりました。今日か明日かの状態で仕事に出かける時は、「何時に帰ってくるから逝っちゃダメだよ」と言い聞かせて。ちゃんと待っていてくれました。
養老 まるの先代のチロは年越しとともに亡くなったんですけど、大晦日の夜、弱って歩けないのに「外に出る」という意思を曲げず、玄関を出ていこうとするんです。しょうがないから毛布にくるんで、段ボールに入れて外に出してあげた。年が明けたら、亡くなっていました。
室井 よく、猫は死ぬ時に姿を隠すといいますものね。
養老 実はまるも亡くなる1ヵ月くらい前にいなくなって、探し出して病院に連れていったところ、心臓が悪いとわかったんです。僕は2020年6月、心筋梗塞の手術を受けて、運よく娑婆に戻ってこられたけれど、入れ替わるようにまるの心臓が悪くなった。いろいろな人から、「養老さんの不調を、まるが引き受けてくれたんですよ」といわれました。
室井 そんなことが。